2021/12/25
「小児アレルギー疾患に関するシステマティックレビューに基づく受動喫煙防止への提言」が発表されました。
受動喫煙と小児期のアレルギー疾患との関連性を調べる目的で,8 項目の Clinical Question について疫 学研究などの医学的知見をシステマティックレビューにより検討した.受動喫煙は,小児喘息における発 症リスクの増加と重症化および呼吸機能低下,小児の咳嗽や痰の増加に関連性が認められた.胎児期の母 親の喫煙は,小児喘息の発症および出生時からの呼吸機能低下と関連がみられた.また,受動喫煙は総 IgE の上昇と特異的 IgE やプリックテストの陽性化に関係し,特に乳児期の受動喫煙は食物や室内アレルゲン 等への感作に有意に関連していた.アレルギー性鼻炎では発症と増悪に関連するリスク因子であることが 示唆された.受動喫煙が小児期のアレルギー疾患に及ぼす影響は大きく,積極的に受動喫煙を防ぐことが 推奨される.なお,アトピー性皮膚炎と食物アレルギーにおいては研究論文の数が少なく且つ関連の有無 についても結果が拮抗しているため,受動喫煙との因果関係は明らかではないと結論した.
池田 政憲1) 吉川 知伸2) 是松 聖悟3) 鈴木 修一4) 寺田 明彦5) 藤井 洋輔6)
1)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児医科学
2)広島市立広島市民病院小児科
3)埼玉医科大学総合医療センター小児科
4)国立病院機構下志津病院小児科
5)てらだアレルギーこどもクリニック
6)福山市民病院小児科
(日小ア誌 2021;35:152-169)